お蚕さまからのたより|VOL.25 桑ってすごい!蚕が食べるだけではなく、古代から人の暮らしに欠かせない大切な植物でした。
養蚕に用いられる桑。蚕はひたすら桑を食べ、絹となる糸を吐くのですが、桑がどんな植物なのか知っていますか?実は、桑は何千年も前から人々に注目されていたすごい植物なんです。桑の歴史や、どのように人々に親しまれてきたのか、調べてみました。
目次
- 葉を養蚕やお茶に利用するほか、欧米では果実を食品に加工
- 桑の栽培に関する記述が『日本書紀』にあり!
- 岩手・更木ファームで桑を育てています
1.葉を養蚕やお茶に利用するほか、欧米では果実を食品に加工
桑とは、クワ科クワ属の落葉高木の総称で、現在、世界で1000種以上がある植物です。原産地の中国では、紀元前2640年頃から桑を使った養蚕業を行っていたという伝説が残っているほど、桑は古くから人と関わりがありました。日本産の桑は、養蚕や桑の葉茶など、主に葉を使いますが、欧米などでは、桑は実を使うのがメイン。「マルベリー」とも呼ばれていますね。ジャムやシロップ、果実酒など、食品類に使用されています。
2.桑の栽培に関する記述が『日本書紀』にあり!
桑が日本で見られるようになったのは、縄文時代。その頃にはヤマグワという品種が自生していたと考えられています。弥生時代になると中国から養蚕の技術が伝わり、『日本書紀』にも桑の栽培に関する記述がみられます。その後さらに中国から他の品種が入ってくると、江戸時代には各地に桑畑が見られるようになりました。明治期に入ってからは官営の富岡製糸場がつくられるなど、養蚕はさらに盛んに。1900年代は日本が世界一の生糸輸出国となり、蚕の餌となる桑の栽培もたくさん行われました。日本の近代化を支えた養蚕業にとって、桑は欠かせない存在でした。
3.岩手・更木ファームで桑を育てています
また桑は、何千年も前から世界各地であらゆる病気の治療に使われてきたスーパー植物としても知られています。中国の伝統医学では、桑の実から抽出される成分が眼に良いとされ、治療に用いられていたのだとか。古代ローマの博物学者・大プリニウスも、歯痛、口や喉の炎症には桑を使うと良いと、桑を高く評価していたと言われています。
古くから人の暮らしと密接なつながりがあった桑。第一工業製薬グループのバイオコクーン研究所では養蚕研究のために、岩手県の更木ファームで桑を育てています。桑のパワーは、カイコハナサナギタケ冬虫夏草を原料とする天虫花草には欠かせないものなのです。
参考)
・ピーター・コールズ著、上原ゆうこ訳『桑の文化誌』(原書房、2022年)
・特別非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会「マルベリーの植物学と栽培」(https://www.medicalherb.or.jp/archives/166298)
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