特集》京の行事食おつゆレシピVOL.5 端午の節供 — 鯛のおつゆ
新緑がまぶしい季節。爽やかで過ごしやすい日々が続いていますね。行事と食のつながりを全国に発信するおせち料理・行事食研究家の小宮理実さんに、季節行事をより楽しめるおつゆレシピをご紹介していただく「京の行事食おつゆレシピ」特集。5回目は、5月5日の「端午の節供」にいただきたい、鯛のおつゆのレシピをご紹介します。
子どもの成長を祈ってちまきや柏餅、鯛の兜煮をいただく「端午の節句」
5月5日は「こどもの日」、「端午(たんご)の節供」ですね。外を歩いていると、鯉のぼりが大空を気持ちよさそうに泳いでいるのを見かけます。
「端午」とは、端(最初)の午(うま)の意味。5月5日に祝うようになったのは、午(うま)が「ご」と読むことから5月になったとか、「寅」から始まる中国の暦で午が5月にあたるからとも言われています。
「端午の節供」の別名は「菖蒲の節供」。武士が活躍する江戸時代には、「菖蒲の節供」は武家の間でさかんに祝われるように。一家の後継ぎとして生まれた男の子が、健康で立派に育つことを願う行事として重要視されていました。これは「菖蒲」の音が、武士の精神を大切にする「尚武」と通じるためだそう。そのほか、菖蒲湯や菖蒲酒を飲んで邪気払いをしたり、薬草や漢方として用いて延命を願ったりと、菖蒲は古くから日本人に親しまれてきました。
端午の節供にいただく、代表的な行事食が、ちまきや、柏餅、鯛の兜煮。なかでも鯛の兜煮は、人の上に立つような立派な人間に育つようにという願いが込められた、縁起の良い料理です。今回はそんなお祝いの日に欠かせない鯛を使った「鯛のおつゆ」をご紹介します。
「鯛のおつゆ」のレシピ
〈材料〉2人分
鯛のアラ 400g
木の芽、白ネギ 適量
水 800ml
昆布 5cm角1枚
酒 大さじ1
塩 適量(下ごしらえ用)
〈作り方〉
1)鯛は身に塩をふり、20~30分程度置く。
2)1)に湯をかけ、血合いやうろこを取り、流水で洗う。
3)鍋に2)と昆布を入れ、水を注ぎ、約10分程度中火にかける。
4)3)の水が濁ってきたらアクを取り、酒、塩で味を整える。
5) 器に鯛の身を盛り、4)を注ぎ、木の芽、白ネギを添える。
小宮理実さんからのワンポイント
鯛には事前に塩をふり、余分な水分を取っておきましょう。端午の節供は男の子の成長を願う日。撮影料理の箸置きには、日本一にあやかり、富士山のデザインを選びました。
《小宮理実さんプロフィール》
お節・行事食研究家 小宮理実(こみやりみ)
京都生まれ、京都育ちのおせち料理・行事食研究家。5歳の頃から祖母の手ほどきでおせち料理作りをはじめる。京都ならではの暦を意識した食と暮らしを刷り込まれて育つ。現代の暮らしに京都の知恵を生かす工夫を考案する。食育、企業の商品開発、おせち料理の監修・テレビ・ラジオ・雑誌で活躍中。近著に『福を呼ぶ 京都食と暮らし暦』(2019 年 青幻舎)『京のおばんざい四季の味』(2019年 家の光協会)がある。
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