特集》京の行事食おつゆレシピVOL.6 七夕の節供 — 七夕そうめんの冷たいおつゆ
7月7日は七夕。この日が近づくと、街のあちこちで色とりどりの短冊を目にしますね。おせち料理・行事食研究家の小宮理実さんにご協力いただいている「京の行事食おつゆレシピ」特集。6回目は、7月7日の「七夕の節供」にちなんで、「七夕そうめんの冷たいおつゆ」をご紹介します。
中国と日本の伝説が結びついた「七夕の節供」
七夕飾りをつくったり、お祭りが行われたりする七夕。実は、日本と中国の伝説が結びついた行事であることはご存知ですか?
古代中国に、7月7日の夜だけ会うことを許された機織りの上手な織女(しょくじょ)と、牛飼いの牽牛(けんぎゅう)の夫婦がいました。この織女にあやかって、手先が器用になりますようにと祈ったのが乞巧奠(きっこうでん)という行事です。日本でも奈良時代に乞巧奠が宮中行事として取り入れられ、手習い事の上達を願い、梶(かじ)の葉に和歌をしたためるようになりました。
また日本には、もともと先祖の霊を迎えるために、女性が水辺の機屋にこもって穢れを祓い、機を織るという「棚機つ女(たなばたつめ)の伝説」がありました。この「棚機つ女の伝説」と、中国の「乞巧奠」が融合して、現在のような行事へと変化していったとされています。
そんな七夕にいただく行事食がそうめんです。「熱病で亡くなった中国の帝の子の祟りを鎮めるために好物だった索餅(さくべい。これがそうめんの祖)というお菓子を供えた」「そうめんを細い糸に見立てて機織りをはじめ芸事の上達を祈った」「天の川の流れにそうめんを例えた」など、さまざまな由来が言われています。
いろいろな説がありますが、梅雨終盤の蒸し暑い季節に食べるそうめんは格別ですね。付け合わせにオクラや枝豆、茄子などの夏野菜を中心に添えると彩り良く、よりいっそう涼し気に。ぜひ、お試しください。
七夕そうめんの冷たいおつゆのレシピ
〈材料〉2人分
そうめん 1束
オクラ、穂紫蘇 適量
とろろ昆布 適量
めんつゆ お好みのもの
〈作り方〉
1)そうめんを茹で、冷水でしめたのち、水分をよく切る。
2)オクラは塩茹でにし、星をイメージして食べやすく切る。
3)うつわにそうめんを盛り、オクラ、穂紫蘇、とろろ昆布をのせ、めんつゆをかける。
小宮理実さんからのワンポイント
とろろ昆布を加えることで、旨味がぐんと増します。事前につゆを冷やしておくと、より美味しくいただけます。箸置きには、涼しげな竹の中に小石が入った目で楽しめるものを選びました。
お節・行事食研究家 小宮理実(こみやりみ)
京都生まれ、京都育ちのおせち料理・行事食研究家。5歳の頃から祖母の手ほどきでおせち料理作りをはじめる。京都ならではの暦を意識した食と暮らしを刷り込まれて育つ。現代の暮らしに京都の知恵を生かす工夫を考案する。食育、企業の商品開発、おせち料理の監修・テレビ・ラジオ・雑誌で活躍中。近著に『福を呼ぶ 京都食と暮らし暦』(2019 年 青幻舎)『京のおばんざい四季の味』(2019年 家の光協会)がある。
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