お蚕さまからのたより|VOL.17 植物からの返信“Re:planter”を見せてくれる、植栽家・村瀬貴昭さん~後編~
球体のガラスの内部に植物世界 “SpaceColony”をつくる植栽家・村瀬貴昭さん。天虫花草のお披露目会や百貨店の催事会場で披露したカイコハナサナギタケ冬虫夏草を使った“SpaceColony”も評判を呼んでいます。前編では村瀬さんが“SpaceColony”をつくるようになったきっかけを紹介しました。この後編では、村瀬さんの作品に込めた想いをご紹介します。
目次
1.土は植物が育つ環境で見て確認するほど大事
2.植物は寄り添うもの。一緒に意識育てて
3.カイコハナサナギタケの造形の面白さ
1.土は植物が育っている環境まで見に行って確認
日が差さず、スペースもさほど広くない。そんな植物にとっての悪条件を克服し、同時に、店舗内装として見せる植物でもある“SpaceColony”。村瀬さんがつくる際にポイントにしているのは土だと言います。
「もちろん何かメインになる植物はあるのですが、一番大切なのは、土。植物によって適した土は違います。例えばサボテンを入れるとなるとサボテンが育つのに適した土をつくる必要がある。でもコケはその土に適してないから一緒には使えない。マツとモミジの土も全然違う。それは、その植物が育っている環境に自分で行って、土や根を見て、判断しています。種類が違っても、例えば食虫植物とジャガイモだと根の色が近くて、同じ土で育てられることもある。面白いですよ」
2.植物は寄り添うもの。一緒に意識も育てて
土が大事な“SpaceColony”にとって、土に依存していないキノコであるカイコハナサナギタケ冬虫夏草は例外。「カイコハナサナギタケ冬虫夏草は湿度100%に近い状態にすれば育ちますし、実は光にも弱い。湿度が高いと、ガラスが曇るので見せることを考えたときに難しかったですね」。それぞれの植物に合った条件を整えながら、美しく見せること。そして、誰かの手に渡った後も、育てていけること。村瀬さんの大切にする想いはここにもあります。
「あくまで自分の美しいバランスが存在していて、それを目指してつくっていきますが、購入してくれた方ができるだけ育てやすい状態にしてお渡しするようにしています。育てていって、その人がつくりたい形にしてもらう。植物は寄り添うもの。これってこうやって育つんだと、植物に対する意識も一緒に育ててもらえたらいいなと思っています」
3.カイコハナサナギタケ冬虫夏草の造形の面白さ
白に少し黄色がかった細い子実体がのびたカイコハナサナギタケ冬虫夏草の“SpaceColony”。作品によって、この子実体が競り合って上にのびているように見えたり、お互いに寄りかかっているように見えたり。不思議な光景がカイコハナサナギタケ冬虫夏草の“SpaceColony”には広がっています。村瀬さんがこの作品に持っているイメージは“黄泉の国”だとか。「子供のときに読んだ水木しげるさんの『鬼太郎妖怪大図鑑』に載っていたのを覚えているのですが、そのイメージ。地下世界のような、空間がゆがんでいるような。言葉にするのが難しい……。カイコハナサナギタケ冬虫夏草の造形自体、とても不思議な形をしていますから、見た人に自由に感じてほしいですね」
最近では、“SpaceColony”にIoTを組み込んで、スマートフォンを使って湿度と温度をコントロールできるようにもしているそう。場所を選ばず、育てやすく、そして植物に寄り添う“SpaceColony”。天虫花草では、カイコハナサナギタケ冬虫夏草そのものを見ていただくひとつの機会として、貴重な役割を果たしてくれています。
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明日はもっと、豊かな自分に。
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