お蚕さまからのたより|VOL.27 一人ひとりの希望に寄り添って、障がいがある人の毎日に明りをともす―一般社団法人暮らしランプ
京都府長岡京市、旧西国街道沿いにある「中野家住宅」は、江戸時代末期に建てられたお屋敷で、国の登録有形文化財でもある貴重な建物。ここに2019年にオープンしたのが、今回取材に訪れた、なかの邸です。一般社団法人暮らしランプが就労継続支援B型の事業所として、レストランやカフェショップを運営しています。
目次
1.利用者さんの「やりたい!」から生まれたコーヒー焙煎所2.一人ひとりが得意を活かし、チャレンジする場
3.“福祉”と“利益”。その両方がバランスよく必要
1.利用者さんの「やりたい!」から生まれたコーヒー焙煎所
「暮らしランプは、5年前に向日市で週末だけの小さなカフェをオープンしたことからスタートしました。今では、利用者さんが増えて5つの事業を行っています」と話すのは、なかの邸の事業長・小林明弘さん。暮らしランプの特徴を、利用者さんのニーズに合わせていることだと教えてくれました。
「利用者さんがこういうことがしたい、利用者さんにこういうことが必要という事柄があって、それに応えてきたのが暮らしランプです。例えばこのなかの邸でコーヒーを焙煎するようになったのも、利用者さんに『どんな作業をやりたい?』と相談してのこと。細かい豆をより分けて手先を動かしたら、リハビリになるんやっておっしゃって」
コーヒーは焙煎量が増えて、今では地域の病院にもカフェを出店するほどの人気に。こうして暮らしランプでは一人の意思から、新たな輪が広がっていくのだそう。
2.一人ひとりが得意を活かし、チャレンジする場
中野家住宅に入ると、土間には販売商品が並び、右側の部屋にはコーヒーの焙煎機が。そして左側に入ったお座敷がレストランです。奥にはキッチンと作業場、離れには藍染をする工房もあります。利用者さんは、調理や接客、庭の手入れ、コーヒーの製造のほか、外部から委託を受けた作業など、それぞれが得意な作業ややってみたいことに挑戦しています。
なかの邸で作業できるのは午前10時から午後10時まで。ランチ、ディナーともに営業していて、アルコールも提供しています。「来てくれたお客様は、福祉事業所でご飯を食べたと思っておられる方はほとんどないと思います。意識せずに、普段通りご飯を食べて、コーヒーを飲んでもらえる。僕たちの役割はその調整をすることです」
3.“福祉”と“利益”。その両方がバランスよく必要
暮らしランプのメインは、もちろん福祉サービス。ですが、なかの邸のように就労訓練をしながらお金を稼ぐことも重要なことと小林さん。「お客様に販売した利益を工賃として利用者さんに還元します。現在、暮らしランプの工賃は平均で月額1万6000~7000円ほど。日本の福祉事業所の工賃の平均は月額1万5000円くらいです。もっと工賃を上げて、利用者さんが自立しやすい環境にもっていきたいと思っています」。第一工業製薬からも天虫花草の商品ラインナップにある「天虫花草クラフト珈琲」の包装作業を依頼。2ヶ月に一度作業をしていただいています。
「コーヒーはいかがですかー」と、なかの邸の玄関から聞こえてきました。その声には、作ったものを手に取ってほしいという想いがあふれています。「できること」「したいこと」を形にしていく暮らしランプの挑戦を、第一工業製薬も応援しています。
暮らしランプ
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明日はもっと、豊かな自分に。
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