お蚕さまからのたより|VOL.37 天虫花草から生まれたアート―暮らしランプの利用者さんに作品をつくっていただきました
2月のある日、第一工業製薬の会議室のテーブルに並んだのは、鮮やかな色づかいの人物や細い線が飛び出しているような物体も。これは、一般社団法人暮らしランプの利用者のみなさんが、カイコハナサナギタケ冬虫夏草やナトリードの生みの親である故鈴木幸一名誉教授など描いた作品。ユニークなアートの数々について、暮らしランプの代表理事・森口誠さんに聞きました。
1.カイコハナサナギタケ冬虫夏草などの写真を題材に
2.自由な創作から生まれたバラエティ豊かな作品
3.人の心と向き合い、支え合う、豊かで文化的な仕事
1.カイコハナサナギタケ冬虫夏草などの写真を題材に
「1枚をじっくり丁寧に仕上げていく人もいれば、1時間に何枚も描く人もいます。それは人それぞれなんです。僕たちもこのお話をいただいて、どんな形になるのか、想像もつきませんでした」。絵を見ながらそう話す森口さん。現在、長岡京市を中心に7つの事業所を運営しています。
暮らしランプは、利用者一人ひとりのニーズにあった支援を行うのが特徴。就労継続支援B型の事業所である「なかの邸」はレストランやカフェショップとして営業していて、利用者はコーヒーの焙煎をしたり、料理を運んだり。奥の部屋では、袋詰めなどの作業をしたりもしています。第一工業製薬でも、天虫花草クラフト珈琲の包装をしていただいています。
今回の取り組みがスタートしたのは2020年秋。カイコハナサナギタケ冬虫夏草、故鈴木幸一名誉教授、蚕の写真をお渡しして、利用者さんに好きな絵を描いてもらいました。この日、そのお披露目会が行われたのです。
2.自由な創作から生まれたバラエティ豊かな作品
向かって右から森口さん、大下さん、小林さん
絵を描く際にはスタッフが道具の使い方などのサポートをしていますが、創作は自由に。キャンバスに描かれているものもあれば、段ボールの切れ端に描かれているものもあります。「私たちは作品の良し悪しは定めませんし、褒めることもしません。そうすると、そればかりつくりたくなって創作の邪魔になるんです」と森口さん。
出来上がったのは、ユニークなアートの数々。スタッフの大下真実さんも、「利用者さんにとってもテーマがあって描くことは新しい体験でした。同じテーマでもこんなに違うんだなと、私も驚きました。たくさんの人に見てもらえるとうれしいです」。
「絵の内容も、描き方にも、こんなにポテンシャルがあるんだということを実感しました。もっともっと可能性が広がっていくんじゃないかと思いますね」。なかの邸の事業長・小林明弘さんも手ごたえを感じた様子でした。
3.人の心と向き合い、支え合う、豊かで文化的な仕事
そして印象に残ったのは、福祉は一人で完結できる仕事ではないという森口さんの言葉。「人の心を相手にして、支え合い、力を合わせる仕事なんです。利用者さんといると、ものの感じ方や感情、本当にハッとさせられます。人の心と向き合うのは大変なこと。でも僕はそのことで、自分の気持ちが豊かになった。ですから、福祉はとても文化的な仕事だと思うんですよ」。今後、今回の作品をもとに、第一工業製薬・天虫花草とどのようなコラボレーションをしていくか具体的な検討に入ります。
森口さんは直接交わる機会が大切とも。「僕たちは“?”を届けたり、関心を持ってもらえるようにするのが役割。絵を見て、直接心で何かを感じてもらえたらうれしいです」。皆さんにも作品の一部を目にしていただく機会を設ける予定です。第一工業製薬も、暮らしランプの“支え合う”仲間の一部。これからもその活動を応援し続けます。
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明日はもっと、豊かな自分に。
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