特集》京の行事食おつゆレシピvol.1 ゑびす講-ネギとはんぺいのおつゆ
天虫花草を販売する第一工業製薬がある京都では、二十四節気といった折々の季節の行事が大切にされてきました。「この日にはこれを食べる」。そんな風習を守り、楽しみながらたくさんの人が今も暮らしています。行事の多くは健やかな生活を願って受け継がれてきたもの。その思いは天虫花草も同じです。そこで、行事と食のつながりを全国に発信しているおせち料理・行事食研究家の小宮理実さんに季節の行事にちなんだおつゆ(汁物)のレシピを考案いただきました。1回目はゑびす講(二十日ゑびす)にいただくおつゆです。
ゑびす様が海からやってきた10月20日にお参りする「ゑびす講」
お正月も一段落した1月10日。京都ゑびす神社には、縁起物の笹を求めるたくさんの人でにぎわいます。こちらは十日ゑびす。その約3か月前、10月20日に行われるのがゑびす講(二十日ゑびす)です。このふたつの行事はもともと対になっていたもので、漁業の神様であるゑびす様が、海からやってくる日にお参りするのがゑびす講、海へ帰る日に行うのが十日ゑびすです。
まっすぐに伸びた枝に青々とした葉がついた笹は商売繁盛の縁起物。そもそもゑびす講は、江戸時代初期、全国で商売をしていた京や近江の商人たちが現在の10月20日ごろに京に戻ってゑびす神社にお参りしていたことが始まりだと言われています。ゑびす講の日には、はんぺい(「はんぺん」のことを京都では「はんぺい」と呼んでいます)とネギを使ったおつゆを京都の商家ではいただきます。はんぺいは小判に、ネギは笹に見立てたもの。深まりつつある秋、ゑびす様への感謝を思いながら、そして商売繁盛を願いながら、いただくおつゆです。
「ネギとはんぺいのおつゆ」のレシピ
〈材料〉
九条ネギ 1本
はんぺい 1枚
だし汁 300ml
酒、薄口しょうゆ 各小さじ2
塩 少々
〈作り方〉
1)九条ネギを斜め切りに、はんぺいを一口大に切る。
2)鍋にだし汁、酒、薄口しょうゆ、塩を入れてあたためる。
3)はんぺい、九条ネギを加え、煮すぎないようさっと火を通す。
小宮理実さんからワンポイント
「笹に小判」を表したおめでたいおつゆです。九条ネギは笹に見立てて斜め切りに。はんぺいは本来は切らずひとり一個まるごといただいていたようですが、ここでは食べやすいようにカットしています。テーブルには、漁業の神様であるゑびす様にちなんで、目出度い(めで鯛)箸置きを添えてみました。あたたかいうちにお召し上がりください。
《小宮理実さんプロフィール》
お節・行事食研究家 小宮理実(こみやりみ)
京都生まれ、京都育ちのおせち料理・行事食研究家。5歳の頃から祖母の手ほどきでおせち料理作りをはじめる。京都ならではの暦を意識した食と暮らしを刷り込まれて育つ。現代の暮らしに京都の知恵を生かす工夫を考案する。食育、企業の商品開発、おせち料理の監修・テレビ・ラジオ・雑誌で活躍中。近著に『福を呼ぶ 京都食と暮らし暦』(2019 年 青幻舎)『京のおばんざい四季の味』(2019年 家の光協会)がある。
参考)
京都新聞 京の知恵 しあわせの食「ゑびす講 縁起物の具材で験担ぎ」
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/565324
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