特集》 京の行事食おつゆレシピVOL.8 亥の子―小芋とごぼうの洋風おつゆ
季節ごとの行事をより楽しめるおつゆレシピを、おせち料理・行事食研究家の小宮理実さんにご紹介していただく「京の行事食おつゆレシピ」。8回目は「亥の子」にちなんだおつゆをご紹介。根菜の旨みがきいていて、肌寒くなってきた秋にぴったりのコクのある洋風メニューです。
うり坊に見立てた餅で無病息災や子孫繁栄を祈る行事
亥の子とは、「亥の月」の最初の「亥の日」を指します。亥の月は旧暦の10月で、現代では11月、亥の日は毎年変わりますが、2023年は1日が亥の日にあたります。古来、中国の宮廷では亥の月、亥の日、亥の刻に、穀物を入れたお餅を食べて無病息災を願う行事が行われていました。これが平安時代の日本に伝わり、宮中で「御玄猪(おげんちょ)」と呼ばれる儀式が行われるように。さらに農村で、亥の子の日には秋の収穫を祝う儀式を行うようになったと言われています。亥とは、イノシシのこと。イノシシが多産であることから子孫繁栄を祈念する意味もこめられています。
この亥の子に食べるのが「亥の子餅」。もともとは、大豆・小豆・ささげ・胡麻・栗・柿・糖(あめ)の 7 種類の粉を混ぜた生地で餡を包んだものでした。今でも、毎年亥の子の頃になると、イノシシの子・うり坊に見立てたお餅を見かけます。今回は、うり坊をイメージしてコロンとした小芋をふんだんに使った「小芋とごぼうの洋風おつゆ」のレシピをご紹介します。
「小芋とごぼうの洋風おつゆ」のレシピ
<材料>2人前
小芋 10個程度(小芋の大きさにより調整してください。大きなものは食べやすい大きさにカットを)
ごぼう 15cm程度
水 400cc
白味噌 適量
バター 5グラム程度
あおさのり 適量
<作り方>
1)小芋の皮をよく洗い、皮のまま15分ほど茹で、天地を落とし、皮をむく。
2)ごぼうを洗い、5cm位に切り、鍋に水をはって茹でる。
3)2)の茹で汁は捨てずにだしとして活用する。アクをすくい、白味噌、バターを加え、味を整える。
4)茹でたごぼうは食べやすく輪切りにする。
5)うつわに1)4)を入れ、2)を注ぎ、仕上げにあおさのりをふる。
※写真は盛り付け時にバターを加えたもの
小宮理実さんからのワンポイント
ごぼうの茹で汁をだしに活用し、白味噌を溶きます。肌寒くなる時期、コクのあるバターと仕上げのあおさのりが食欲をそそるおつゆをいただきながら、静かに無病息災を願います。
《小宮理実さんプロフィール》
お節・行事食研究家 小宮理実(こみやりみ)
京都生まれ、京都育ちのおせち料理・行事食研究家。5歳の頃から祖母の手ほどきでおせち料理作りをはじめる。京都ならではの暦を意識した食と暮らしを刷り込まれて育つ。現代の暮らしに京都の知恵を生かす工夫を考案する。食育、企業の商品開発、おせち料理の監修・テレビ・ラジオ・雑誌で活躍中。近著に『福を呼ぶ 京都食と暮らし暦』(2019 年 青幻舎)『京のおばんざい四季の味』(2019年 家の光協会)がある。
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